① | 特別管理産業廃棄物(以下、「特管物」という)について | |
○ | 自動車用鉛蓄電池は、pH2以下の硫酸を含むことから、産業廃棄物として排出される場合には、廃棄物処理法で定める特管物に該当し、通常の産業廃棄物より厳しい基準が適用される。 | |
○ | 使用済自動車用鉛蓄電池が不法投棄等された場合には、その有害性から深刻な環境問題を引き起こすおそれがある。 特管物の排出事業者は、廃棄物処理法に基づき、下記のような規定の遵守が求められている。 |
義 務 | 違反した場合の罰則 | |
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第二項 | <保管> 特管物が運搬されるまでの間、「特別管理産業廃棄物保管基準」(周囲に囲いを設ける、掲示板を掲出する等)に従い、生活環境の保全上支障のないようにこれを保管しなければならない。 | 罰則なし (行政の改善命令違反に対する間接罰則あり) |
第四項 | <運搬処分の委託> 委託基準(あらかじめ、特管物の種類、数量等を文書で通知等)を遵守しなければならない。 | 3年以下の懲役 又は 300万円以下の罰金 |
第五項 | <帳簿の記載> 特管物の処理に関する帳簿(運搬・処分の年月日、委託量、委託先等)を作成し、5年間保存しなければならない。 | 30万円以下の罰金 |
第六項 及び 第七項 |
<管理責任者の設置> 事業場ごとに、特管物の処理に関する業務を適切に行わせるため、環境省令で定める資格を有する「特別管理産業廃棄物管理責任者」を置 かなければならない | 30万円以下の罰金 |
注) | なお、前年度に50トン以上の特管物を生ずる事業場を設置している事業者は、特管物の処理計画を作成し、都道府県知事等に提出しなければならない。 (50トンは、普通自動車用バッテリーでおおよそ3,800個弱) |
※ | 自治体によっては、条例等に基づき、特別管理産業廃棄物を生ずる事業場に関して設置届出義務等(管理責任者報告含む)の規制措置があり規制内容が異なったりするので注意が必要です。 |
② | 特別管理産業廃棄物管理責任者(以下、「管理責任者」という)について | |
○ | 事業場ごとに、特管物の処理に関する業務を適切に行わせるため、下記に定める資格を有する者から 「管理責任者」を選任しなければならない。 |
資格・学歴 | 課程 | 修了した科目・学科 | 実務経験 注1) |
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イ | 環境衛生指導員 | - | - | 2年以上 |
ロ | 大学 | 理学、薬学、工学、農学 | 衛生工学、化学工学 | 2年以上 |
ハ | 理学、薬学、工学、農学 これらに相当する課程 |
衛生工学、化学工学以外 | 3年以上 | |
ニ | 短大・高専 | 理学、薬学、工学、農学 | 衛生工学、化学工学 | 4年以上 |
ホ | 理学、薬学、工学、農学 これらに相当する課程 |
衛生工学、化学工学以外 | 5年以上 | |
ヘ | 高校 ・ 旧制中学 | - | 土木科、化学科 これらに相当する学科 |
6年以上 |
ト | - | 理学、農学、 工学に関する科目 これらに相当する科目 |
7年以上 | |
チ | (学歴要件なし) | 10 年以上 | ||
リ | イからチまでと同等以上の知識を有すると認められる者 注2) |
注1) | 管理責任者の実務経験の要件(「○年以上廃棄物の処理に関する技術上の実務に従事した経験を有する者」)は、 交換や保管等のバッテリーに係わる取扱い経験も含む。 |
注2) | イ~チに該当しない者の救済策として リ があり、以下の講習会の受講者に資格要件が与えられている。 公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター 受講費用 14,000円(2013年度参考) (連絡先:03-5275-7111 URL https://www.jwnet.or.jp) |
○ | 管理責任者の役割 | ||
● | 特管物の排出状況の把握、処理計画の立案、適正な処理の確保 |
① | 「管理責任者要件の緩和措置として、自動車用バッテリーの技術上の取扱いに習熟している者として 上記”表2”の他に次の資格を有する者が認められています。 | |
○ | 一級、二級及び三級の自動車整備士 | |
○ | 自動車電気装置整備士 | |
○ | 車両系荷役運搬機械、車両系建設機械及び高所作業者に係る特定自主検査有資格者 |
② | 自動車用バッテリーの小売店等が卸売業者から新しいバッテリーを購入する際に、商習慣として使用済みバッテリーを無償で卸売業者に廃棄物処理としてではなく下取りとして引き渡す場合は、(排出事業者とならないので)管理責任者を置く必要はありません。 |